会長挨拶
第3代 日本医学会連合会長
門脇 孝
令和5(2023)年11月10日、一般社団法人日本医学会連合臨時社員総会において、急逝された門田守人前会長の後任として第3代の日本医学会連合会長に選任されました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
日本医学会連合は、「医学に関する科学及び技術の研究促進を図り、医学研究者の行動規範を守ることによって、わが国の医学及び医療の水準に寄与すること」(定款)を目的とした、日本の医学会を代表する学術的な全国組織の連合体で、現在、基礎部門(15学会)、社会部門(20学会)、臨床内科部門(61学会)、臨床外科部門(46学会)の計142学会からなり、各学会に所属する会員の総数は100万人を超えています。
日本医学会連合の前身である日本医学会は、明治35(1902)年4月2日に第1回日本聯合医学会として創立され、第3回からは日本医学会と改称、4年毎に日本医学会総会を開催する組織として活動を続けてきました。昭和22(1947)年の第12回日本医学会総会で日本医学会は常設の組織となりました。一方、その年に日本医師会が新しい社団法人として再出発しましたが、GHQは日本医師会に学術的な機能を持たせる必要があるとして、昭和23(1948)年に日本医学会を日本医師会の組織の一部としました。
しかし、平成18(2006)年頃から日本医学会のあり方を見直す動きが始まり、平成26(2014)年4月1日に一般社団法人日本医学会連合が設立され、本年10年目の節目を迎えます。
日本医学会連合は、学術団体の中心としてわが国の医学・医療の発展を図り、医学研究者が高い倫理観のもとに医学・医療に携わることを定め、わが国の医学・医療の水準の向上を目指して活動しています。そのために、常設の教育・研究推進委員会、研究倫理委員会、専門医等人材育成検討委員会、労働環境検討委員会、診療ガイドライン検討委員会、ダイバーシティ&インクルージョン推進委員会などを設置し、活動してきました。また、日本専門医機構や日本医療安全調査機構に主要な社員として参画してきました。
教育・研究推進の面では、領域横断的連携活動事業(TEAM事業)や基礎部会・社会部会の若手リトリートを実施し、研究倫理の面では、日本医学会と連携した研究倫理教育研修会の開催、旧優生保護法の検証、臨床研究法や医学系研究における個人情報の保護と利活用への提言などを行ってきました。専門医等人材育成・労働環境の面では、医師の働き方改革と研究の両立に関する提言、最近の専門医等人材育成に関する要望書の発出などを行ってきました。また、加盟学会間の連携による新型コロナウイルス感染症パンデミックに対するリアルタイムの診療ガイドラインの発出、厚生労働省科学研究:新型コロナウイルスによる他疾患を含めた医学・医療に与えた影響の解明に向けた研究、医学・医療におけるダイバーシティ推進の提言や取り組みなど、アカデミアの立場から医学・医療の重要な諸課題に対しタイムリーに提言や要望を発出し、必要な活動を行ってきました。
このたび、日本医学会連合の10年を迎えるにあたり、記念事業として、この10年間の活動を振り返り、日本医学会連合のさらなる発展に向けた決意を固める立場として令和6(2024)年3月1日に記念シンポジウム「一般社団法人日本医学会連合の設立を振り返る」を開催し、記念誌の出版を行います。
日本医学会連合は、医学・医療の進歩・発展に対する各界からの大きな期待とそれに応える負託を深く自覚し、諸課題をしっかりと見つめ、そのミッションである「医学に関する科学及び技術の研究促進を図り、医学研究者の行動規範を守ることによって、わが国の医学及び医療の水準に寄与すること」を目指し、次の10年に向けて142の加盟学会と連携し、活動を大きく発展させることを期しています。関係各位のご協力をよろしくお願いいたします。