第7回、第8回、第9回社会医学若手フォーラム開催のご案内
第7回、第8回、第9回社会医学若手フォーラム参加者募集
社会医学若手フォーラムの第7回を2023年5月18日(木)、第8回を6月12日(月)、第9回を7月7日(金)に Web開催します。前回と同様にランチタイム(12時10分開始)に短時間でのフォーラムを行います。第7回は箕浦明氏(昭和大学)から医学研究評価の現状・傾向・課題について、第8回は鈴木愛氏(筑波大学)から介護分野のへルスサービスリサーチについて、第9回は高橋礼子氏(愛知医科大学)から災害医療体制の成り立ちと変遷および地域での医療機能維持方策とその実践方法について、お話をいただく予定です。昼食をとりながらぜひお気軽にご参加ください。
本フォーラムは参加無料です。
参加登録フォームhttps://forms.gle/RezPNpbcrgGYwuzo7よりお申込みください。
(参加登録は3回分を一括で行っております。一部のみご希望の方もご登録ください。)
開催趣旨
日本医学会連合社会部会の若手リトリートは2021年度、2022年度に開催され、分野の異なる加盟団体からの参加者により、活発で積極的な会合が行われました。こうした若手リトリートの「年会」は今後も開催される見込みですが、それと同時に、限られた参加者による「年会」だけでなく、「持続的に」、「開かれた」交流会を開き、社会部会研究者を中心とした研究ネットワークを拡大していくことは、極めて有意義なことと思われます。
社会医学は、医療を中心とした社会の様々な現場から、研究室・実験室で行う健康・医学に関わる社会医学の基礎研究まで、多様な研究分野から成り立っています。それぞれの持ち場において活動する研究者が、各自の問題意識を互いに共有し、協働することで、より大きな成果が期待される研究領域です。同時に、こうした「若手」の活動に共感する「年長」研究者との交流も極めて有用です。
そこで、若手リトリートに集った参加者を軸として、相互理解を深め、医療・健康上の課題解決を志す他の多くの仲間を増やして共同研究を促進していくために、また、「社会医学」の若手リトリートの研究ネットワーク形成という当初の目標を目指すことのために、社会医学若手フォーラムを開催することとなりました。
その第1回を2021年6月26日にWeb開催し、以降も2021年度に第2回~第4回を、2022年度に第5回、第6回を継続して開催しています。各回数名の講演についての活発な意見交換が行われ、その後の参加者同士の交流会でも新しいつながりができました。
第7回、第8回、第9回は、2023年5月18日(木)、6月12日(月)、7月7日(金)のランチタイムにオンラインでの開催となります、昼食をとりながらぜひお気軽にご参加ください。今回も新しい刺激を受ける良い契機になることを期待しています。ぜひ周りの方々にもご案内ください。人々の命と健康に関わる研究者の幅広い交流と共同研究促進を志す多くの方々のご参加をお待ちしております。
開催概要
日本医学会連合 第7回、第8回、第9回社会医学若手フォーラム
日時 | 第7回:2023年5月18日(木)12:10~12:50 第8回:2023年6月12日(月)12:10~12:50 第9回:2023年7月7日(金)12:10~12:50 |
場所 | オンライン(Zoom) |
対象 | 社会医学若手フォーラムの趣旨に賛同する研究者 |
内容 |
登壇者による自己紹介・研究紹介および質疑 第8回: 鈴木 愛氏(日本公衆衛生学会・日本疫学会、筑波大学) 第9回:高橋 礼子氏(日本災害医学会・日本公衆衛生学会・日本救急医学会・日本麻酔科学会、愛知医科大学) |
参加費 | 無料 |
申込方法 | 事前登録制:下記フォームより、お申込みください。 参加登録フォーム |
申込期限 | ・各部開催日3日前まで 第7回:2023年5月15日(月) 第8回:2023年6月9日(金) 第9回:2023年7月4日(火) |
問合先 | 山本 琢磨(兵庫医科大学法医学教室) shakai.wakate [a] gmail.com |
主催 | 日本医学会連合 社会部会若手リトリート・フォーラム実行委員会 フォーラム部門 |
タイムテーブル(予定):
12:10 趣旨説明
12:15 演者による講演
12:35 質疑応答
12:50 終了
演者詳細
第7回演者 箕浦 明
所属 昭和大学医学部 衛生学公衆衛生学講座
主な所属学会 日本衛生学会、日本公衆衛生学会、日本産業衛生学会、日本社会関係学会
略歴
2014年3月 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科博士課程修了[博士(医学)]
専門は公衆衛生学・疫学。東京都健康長寿医療センター研究所を経て、2017年より現職。近年は、COVID-19パンデミックが日本社会に与えている影響について、インターネット調査や大学病院患者情報などのデータをもとに分析を続けている。
演題名 「将来に向けた医学研究評価のあり方についての調査」の結果報告と今後の課題について
発表要旨
本邦における医学研究の評価は、多くの場合、論文の掲載雑誌のインパクトファクターや被引用論文数などの量的指標を用いて行われている。一方で、量的指標の向上が自己目的化することの弊害が指摘されており、海外ではこの10年ほどで、量的指標への偏重から揺り戻しの動きがみられている。本邦においても、日本学術会議が2021年に提言「学術の振興に寄与する研究評価を目指して~望ましい研究評価に向けた課題と展望~」を発出するなど、研究評価のあり方を見直す動きが出てきている。
日本の医学研究を高めていく上で個々の研究を適正に評価することが重要であるが、全国規模で医学研究評価について検討した調査研究は少ない。このような現状を踏まえ、第31回日本医学会総会学術委員会U40委員では「将来に向けた医学研究評価のあり方についての調査(インターネット上の無記名自記式調査)」を実施し、日本医学会の分科会に所属する3169名の研究者から回答を得た(調査期間:2022年12月14日~2023年1月17日)。調査項目には、医学研究評価に対する回答者の考えと現状についての設問、具体的には、医学研究に対する定量的評価(インパクトファクターなど)、定性的評価(定量的指標で測れない研究の重要性・コミュニケーション能力など)、回答者が理想とする評価のあり方(自由記述)等について質問した。
今回は調査結果よりみえる医学研究評価の現状・傾向・課題について報告し、調査上の限界・今後の解析、課題解決の方向性についても言及する。
第8回演者 鈴木 愛
所属 筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野
主な所属学会 日本公衆衛生学会、日本疫学会
略歴
2018年 茨城県立医療大学大学院 修士課程修了(理学療法学修士)、2020年 東北福祉大学通信教育部社会福祉学科卒業(社会福祉学学士)、2022年 筑波大学大学院 修士課程修了(公衆衛生学修士)。2023年より筑波大学大学院博士課程に在籍。2022年より筑波大学にて研究員としても従事している。
演題名 介護分野における研究について~ヘルスサービスリサーチの視点から~
発表要旨
自身が介護分野の研究に興味を持ったのは理学療法士として特別養護老人ホーム(以下、特養)に勤務したことがきっかけである。当初、車いすのシーティングに興味があり、どのような車いすが特養入居者に適しているかを研究したことがあった。その時に気づいたことは、各々の入居者に適した車いすは実際に存在しているが、その車いすを特別養護老人ホーム入居者が利用できるかというと困難が伴うということであった。「サービス自体が存在していてもそれが供給されるかどうかは別問題」ということに気付いた出来事であり、個人レベルではなく施設や制度といったマクロな視点に興味を持ち始めたきっかけであった。また、特養で勤務しているなかで介護の世界では経験則で物事が進んでいくことも少なくなく、定性的な捉え方が多いように感じた。人を相手にする以上それも重要なことではあるが、なかには、本来は定量的に捉えるべき事柄を定性的に捉えてしまっていることも多いように思う。以上の経験から、介護を「マクロな視点」で「定量的に捉える」ということに興味をもち、へルスサービスリサーチに出会ったことをきっかけに研究の世界に足を踏み入れた次第である。
現在は主に介護レセプトや医療レセプトといった二次データを活用した研究を行っている。これらのデータを用いることで、必要なサービスが行き届いているのか、各サービス(プロセス)や施設要因(ストラクチャー)は高齢者のアウトカムにどのように関連しているか、といったことを見ることができる。
本フォーラムでは介護分野の研究に興味をもったきっかけや実際の研究内容などについて共有し、参加者の皆様と気軽にディスカッションをしていきたいと思う。
第9回演者 高橋 礼子
所属 愛知医科大学 災害医療研究センター
主な所属学会 日本災害医学会、日本公衆衛生学会、日本救急医学会、日本麻酔科学会
略歴
2007年3月藤田保健衛生大学医学部卒業。豊橋市民病院での卒後臨床研修の後、2013年からDMAT事務局勤務。2017年から厚生労働省大臣官房厚生科学課健康危機管理・災害対策室に出向。2018年から愛知医科大学災害医療研究センターに入職し、2021年11月から講師。専門分野は災害医学。現在、災害時の医療機関機能維持方策の研究に主に従事。
演題名 災害医学・災害医療の成り立ちと変遷~社会医学領域における『災害』とは~
発表要旨
災害医学は、救急医学から派生した非常に臨床医学に近い分野と捉えられる事が多い。勿論そういった側面もあるが、災害時の最大の問題は、需要と供給のアンバランスによる医療体制の崩壊であり、これを解決するには臨床現場だけの対応では困難である。このため災害医療では、個々の患者への最良な医療の提供ではなく、最大多数の患者に対して救命・良好な予後・健康被害の低減を目指す事が重要となり、その体制構築のためには、平時・災害時共に、行政・関係機関との連携含めた社会医学的な側面が非常に大きくなる。
本邦における災害医療体制は、阪神淡路大震災を契機に整備が進められたが、これはまさに需要と供給のアンバランスによる『防ぎえた災害死』が約500名発生したことを背景に、各種の対策・準備等が進められるようになったと言える。また東日本大震災以降、大小様々な災害が毎年の様に発生してきたが、必ずしも「災害によって新規に発生した外傷患者」への救命医療の提供(被災地外への患者搬送含む)ばかりが必要だった訳ではなく、寧ろ「既存入院患者含む全ての医療提供が必要な患者」に対応するために、被災地内での災害医療体制の確立や被災医療機関の支援がより重要視されるようになっていった。更に、今後必ず起こると言われている南海トラフ地震・首都直下地震においては、圧倒的に供給側が不足する中で、いかに効率的・効果的に地域全体として医療機能継続を図るかという点が非常に大きな課題となっており、現在その研究や具体的対策が進められている所である。
本講演では、本邦における災害医療体制の成り立ちと変遷について、その背景となった実際の災害事例も含めて紹介すると共に、演者が現在研究を行っている地域全体での医療機能維持方策のあり方とその実践方法について報告する。